こんにちは。アイボパパです。
今日は、DICについて書きたいと思います。
血液は、管状(血管)の中を流れ全身に巡っています。
みなさん、怪我や抜歯したりして出血した事ありますよね?
余程の大きな怪我や切り傷で無ければ、大抵は自然に止血します。
では、液体状の血液は、なぜ止血するのか、考えた事ありますか?
ここで、簡単に止血機構を整理してみましょう。(下線部の所だけ目を通して頂ければ結構です。)
止血機構の整理と、DICについて!
血管壁
血管の壁(血管壁)の損傷で出血し、正常な血管壁では自然出血は起きません。
血小板(一時止血)
血小板は、血管壁との相互作用により、①粘着 ②凝集 ③退縮 の過程で止血します。
①血管壁の細胞(血管内皮細胞)に粘着
②血小板同士が集合して、一次血栓を作る
③血栓のサイズを整える
血小板の異常で起きる代表疾患:突発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血小板無力症、抗血小板薬(アスピリン)服用時、汎血球減少(全ての血球成分が減少し、出血傾向を認める疾患)→再生不良性貧血、巨赤芽球貧血‹進行時›、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、抗腫瘍薬
凝固系(二次止血)
12個の凝固因子が活性化して、フィブリンを産出。フィブリンが止血作用を行います。
凝固因子は、外因系、内因系、共通系に分類されます。
①外因系 血管外の凝固因子から凝固が開始される過程。 第Ⅶ因子 第Ⅲ因子 が関与。
②内因系 血管内の凝固因子のみからなる凝固過程。 第Ⅻ因子 第Ⅺ因子 第Ⅸ因子 第Ⅷ因子 が関与。
③共通系 外因系 内因系双方の反応を受ける凝固過程。 第Ⅹ因子 第Ⅴ因子 第Ⅱ因子 第Ⅰ因子 が関与。
凝固系の異常で起こる代表疾患:血友病A・B、第Ⅶ・Ⅹ・Ⅴ因子欠乏症、先天性低フィブリン血症、抗凝固薬(ワルファリンカリウム)服用時
線溶系
損傷部位の修復後に、プラスミンにより、フィブリンは分解され血栓は融解します。
血小板・凝固系・線溶系の複合的異常で起こる代表疾患:von Willebrand病、DIC(播種性‹はしゅせい›血管内凝固症候群)
上記のような止血機構があり、止血困難な疾患も数多くある事が見て取れると思います。
DICとは?
DIC(播種性‹はしゅせい›血管内凝固症候群)です。
上記でも記載した通り、DICは、血小板・凝固系・線溶系の複合的異常で起こる代表的な病態です。
なんらかの基礎疾患(敗血症、急性白血病、固形がん、大量出血、広範囲の組織破壊など)により、血小板、凝固系が活性され、小さな血栓(微小血栓)により循環障害を起こします。
この循環障害が、臓器機能障害を起こします。
この血栓を作るのに血小板、凝固系が大量に消費される為、最終的に血小板、凝固系が足りなくなり出血傾向になります。
それと同時に、出来た血栓を溶かそうと線溶系が多発します。→出血傾向になります。
つまり体内の中の血液は、血を固めて血栓を作り、線溶系の作用で血を固めないで溶かす、真逆の作用が同時に起きてしまってる状態になります。
治療では、誘因となる基礎疾患の治療、ヘパリンの使用による血液凝固阻止、新鮮血・血小板の輸血、フィブリノゲンの静注などを行います。
最近は、2008年から販売開始した遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)も抗凝固活治療薬として使われています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
私たちの血管を流れる血が、出血したり止血したりする理由が解ってもらえたでしょうか??
そのシステムが間違った働きをする事で、様々な異常を引き起こす事も解ってもらえたと思います。
今日は、止血、出血の仕組みと、DICを紐解いてみました。
最後まで、お付き合いくださってありがとうございます。